規正法違反 有権者欺く「実質犯」(産経新聞)

 またぞろ「形式犯」との批判が頭をもたげてきた。小沢一郎民主党幹事長の側近議員らを逮捕した政治資金規正法違反事件である。小沢氏本人も16日の民主党大会で「形式的なミス」と明言し、「最初から逮捕という経過をたどり、納得できない」と強弁した。が、規正法違反を「形式犯」の前提で論じるのは正しいのか。私は否といいたい。有権者が被害を受ける「実質犯」だと。

 そもそも「形式犯」の定義とは何か。一般的には、法律で保護している利益を侵害しない程度の犯罪だ。免許不携帯で車を運転した場合などが挙げられる。

 では、規正法違反は利益を侵害していないのか。

 同じように「形式犯」とみられている金融商品取引法(旧証券取引法)違反の有価証券報告書の虚偽記載罪についてみてみよう。

 この罪は上場企業が収支や財務状況を示す報告書に経営状況を良く装うなどのウソを書いた場合、10年以下の懲役もしくは1千万円以下の罰金が科せられる。報告書は、投資家が株を買う際の重要な判断材料で、故意にウソを書けば投資家は欺かれ、大損する恐れがある。これは、不利益を被る「実質犯」だといえる。

 では、規正法違反の政治資金収支報告書の虚偽記載はどうか。

 この法律の第1条で「政治団体及び公職の候補者により行われる政治活動が国民の不断の監視と批判の下に行われるようにする」と明記してある。つまり、政治資金収支報告書は有権者が監視と批判を発揮する場である選挙で投票する重要な判断材料になるものだ。

 ここに故意にウソが書かれたら、投票した有権者は欺かれ、不利益が生じる。だから、規正法違反も「実質犯」だといえるのだ。

 今事件で、小沢氏は党大会で「計算や記載の間違いはあったかと思う」と述べた。故意ではないということだ。それではなぜ、事件の舞台となった土地の代金を支払った後に、定期預金を組んで融資を受け、土地代金に充てたように装ったのか。この偽装工作が「形式的なミス」なのか。悪質な故意だといえないか。

 税務申告でも、国税当局は単に所得の申告漏れの場合は修正申告でとどめる。しかし故意の所得隠しがあれば、脱税として刑事告発を前提とした調査に乗り出す。

 今事件で虚偽記載をした金にゼネコンからの裏金が流れていたとしたら、より悪質性が増す。実際、小沢氏のおひざ元で実施された胆沢(いさわ)ダム工事の受注の謝礼として、水谷建設元幹部らが計1億円の裏献金を側近議員らに渡したと供述。その通りなら、当時、小沢氏側に渡った金は事実上のわいろといえるからだ。

 小沢氏は党大会で「これが通るならば、日本の民主主義は暗澹(あんたん)たるものになる」と嘆いてみせた。一言付記しておくと、小沢氏自身が改正に携わり、今事件で違反を問われている規正法の第1条には「民主政治の健全な発達に寄与することを目的とする」と明記されている。(司法キャップ 宇田川尊志)

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